臭いぞ、臭い」
アーサーは鼻をよじらせ
息をすばやく吐き出しました。
洞くつの奥から、
獣(けもの)の匂いが漂ってきました。
鼻を突くような
強烈なにおいです。
アーサーとミドリさんは
不吉な気配に
背筋がぞっとして
体中の毛穴が逆立ちました。
「待っていたぞ、アーサー」
低い、地を這うような
ドスのきいた声が聞こえてきました。
アーサーとミドリさんは、
恐ろしさのあまり、
目と目の間に、
深いしわを作ると、
恐る恐る声のする方に顔を向けました。
暗闇の中から
荒い鼻息とともに、
黒いマントを羽織ったオットセイが、
真っ白なたてがみを逆立て、
姿をあらわしました。
「お前のオヤジの王国は
俺様のものだ」
そこには
目を吊り上げ
するどい歯をむき出した悪漢、
ウィーニーが立っていました。
いまにもアーサーたちに
襲い掛からんばかりの形相でした。
さっとマントをひるがえすと
裏は真っ赤な
ビロードでした。
ウィーニーは
地獄の闇の中をのぞくような
血走った目で、
アーサーとミドリさんを
睨みつけました。
「バカなやつらだ」
ウィーニーは言いました。
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